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| 才能あふれるポウルセンのKOシーン
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例えるなら、デンマークの無名のサッカーチーム「ACホーセンス」から、世界最高峰のスター集団「レアル・マドリード」へ移籍が決まったようなもの。欧州でも指折りの大手ドイツ・ザウアーラントから、直接、高待遇でスカウトされたデンマークのライト級ボクサー、23歳のキム・ポウルセンは地元紙にこう語った。見出しは、「ゴールデンボーイにゴールデン・チャンス到来」。
高揚感を抑えきれない一方で、ポウルセンは、苦労をともにしてきた代理人のヘンリック・リーソム氏を裏切る後ろめたさにも言及していた。数年前に北京五輪同国代表最有力候補の座をなげうってプロ転向を望んだ際、線の細さからプロ向きでないと見られていたポウルセンに注目したのは、かつて20歳代の若さで「北欧ボクシング年鑑」を自費編さんしたリーソム氏だけだったのだ。
アマジュニア部門でスペインの国際大会「ボクサム」準優勝、ポウルセンのしんの強さを見抜いたリーソム氏は、年鑑の編さんを棚上げしてまでも、彼のゴールデンボーイに懸けた。デンマークの協会がライセンス発給を拒否、ドイツの協会から取得して、国外での知恵を絞ったマッチメークで経験を積ませた。
例えば、2年前の10月の勝利を最後に引退した生涯戦績300戦32勝(8KO)256敗12分けのピーター・バックリー。史上2番目の敗戦数もほとんどKO負けがなく、世界王者との対戦も豊富で英国中部地域王座を2階級で制覇したこの不思議な英国人にも敵地で大勝している。
トニ・ジュールダ(フランス)に不運な判定で唯一の敗戦も、きっちり借りを返して相手を引退に追い込んだ。昨年6月には2連続KO勝利となる2回KO勝ちで、アフリカ圏で活発な団体UBOのインターコンチネンタル王座に戴冠。名実ともに黄金色に輝いてきた矢先、業界大手ザウアーラントによるホープ強奪劇だった。
ドイツで暴れる「海賊戦士」ミッケル・ケスラーに加え、マイク・タイソンと戦った国民的英雄・44歳のブライアン・ニールセンも今秋にはドイツで復帰するという。ドイツのデンマーク侵攻作戦は本気だ。今やその切り札であるポウルセンだが、彼を発掘し、磨き上げ、その将来性のために訴訟や泥仕合を避けてドイツ移籍を認めたリーソム氏の手腕とフェアプレーもまた評価されてしかるべきだろう。(フリーライター・草野克己)
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