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高知喫茶事情
喫茶店〜高知ならではの魅力と食文化

 高知県といえば、皆さんはどんなことを連想されますか? 温暖でのどか、黒潮流れる太平洋、熱狂のよさこい祭り。そして清流・四万十川に代表される豊富な自然は、新鮮な魚介類を筆頭に海山の美味を健康に育んでいます。

 じゃらんリサーチセンターが、全国約1万人の宿泊旅行者を対象に実施した「じゃらん宿泊旅行調査2007」 。「地元ならではのおいしい食べ物が多かった」部門で高知県は堂々1位に輝きました。

 カツオのたたきや、新鮮な食材を豪快に盛りつけた「皿鉢(さわち)料理」などが自慢の高知。それだけでなく、訪問先のあちこちで食べた普通の食事がおいしいとの評判も高いのです。つまり、どこで何を食べてもおいしい=「外食」のレベルが高いということ!

「喫茶好き」日本一?

 そんな高知県民が特に大好きなのは「喫茶店」! 人口一千人当たりに換算すると1.90店で、人口約79万人しかいない小さな県としては破格の店舗密度。モーニングサービスの本場と呼ばれる愛知県、一世帯当たりの年間喫茶店代支出ランキングがトップの岐阜県にも負けていない、「喫茶好き都道府県」の代表格と言えるでしょう。

 また、総務省統計局による1975年から3年おきの調査でも、県民一人当たりの店舗数密度が2004年まで9回連続トップ(「事業所・企業統計」「人口推計」による)。 “喫茶好き”日本一を名乗る資格は十分にありそうです。

年間出費でも・・・

 また、県庁所在地の高知市は喫茶店のために使う金額でも名古屋、東京区部、横浜市など大都市に次いで9位(総務省統計局「家計調査」平成16〜18年平均)と堂々のトップ10入りを果たしています。

 喫茶代の年間平均6,615円は全国平均の5,275円を上回っており、人口50万人以下の都市では第3位。県民所得ランキング(2004年)では45位と、決して豊かではない県民の家計を考えると、破格の出費とも言えそうです。お金も大事だけど、それ以上に喫茶店が好き! なのかも・・・?

働く女性が支える

 高知では数字の上だけでなく、休日の朝に一家でモーニングサービスを楽しむ姿がどこの喫茶店でも見られるように、多くの人が外食好き。だからこそお店のレベルも上がるというものですが、なぜそうなったのでしょう?

 まず、広く言われる理由の一つが「働く女性が多いこと」。「はちきん」と呼ばれる高知の女性は気丈で行動力もあり、自ら働いて生計を立てる人が多いのです。いきおい、そんな女性の家庭を支えるため、外食産業が古くから発達。高知市の18年度遊興費支出でみると、外食費は年間16万2千円と、全国平均を上回っています。これは所得環境が悪化している中でも変わっていません。

喫茶=「何でもそろう」

 一方、人口が少ないため本格的な飲食店、専門料理店は経営が成り立ちにくい高知県。客が少ない郡部では特に、一つの店でコーヒーや軽食だけでなく食堂並の豊富な飲食メニューまで提供して客を引き留める必要がありました。

 また地理的条件などからファミリーレストランなどの全国的チェーン店の進出は80年代後半まで遅れました。こういった状況の中、「リーズナブルで、何でもそろう」とのニーズを引き受けようとした結果、現在の「高知の喫茶店」という営業形態が形成された——と、私たちは推測しています。

専門店顔負けの美味満載

 そんな中で、特に高知の喫茶店が人気なのは、そのメニューの豊富さ。ドリンク類やモーニングサービスだけでなく、ほとんどの店で定食やランチなどの食事メニューが充実。和食から本格的な洋食、定食・丼物などの定番メニューまで「喫茶店」の枠を軽く超えた“食のワンダーランド”状態です。高知県民の多くは、食事のたびに「喫茶に食べに行こか」と多彩な食文化を楽しんでいます。

 つまり、高知の喫茶店は単に軽食や飲み物を楽しむためだけの場所ではありません。「サラリーマンが昼食に、喫茶店で日替わりランチを食べる」という本県では当たり前の光景は、他県、特に大都市圏ではまず見られないでしょう。料理は専門店がおいしいという一般常識を打ち破り、本県の喫茶店では専門店顔負けの人気料理があり、各店が工夫し、しのぎを削っているのです。

地域に根差す食文化

 高知の喫茶店は駅前や繁華街だけにあるのではありません(高知には駅も繁華街も少ないのは確かですが)。住宅街には必ず1軒以上。田舎の町にも山の中の国道沿いにも、住民が集まる名物店が必ずあるのです。

 人口が少なく飲食店の店舗数も少ない高知県において、喫茶店は住民の飲食のみならず貴重なコミュニケーションの場として地域に根差しています。中にはその地域にしかないメニューも多数存在するなど、まさしく高知ならではの“喫茶店文化”が花開いています。

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