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SONIC WEB版

 ’07高知のロックシーン 2バンドが席巻

DISCAPHORICS

 思えば2007年、高知のロックシーンを盛り上げたのは、年間60本以上のライブに出演した、この20代2バンドではなかったか。

 ポップ〜ポストロックを自在に行き来する4ピース、DISCAPHORICS(ディスカホリックス)


THE BROKEN HEARTS CLUB

 直球ロックンロール3ピース、THE BROKEN HEARTS CLUB(ザ・ブロークン・ハーツ・クラブ)

 高知を席巻した2バンドを紹介して、今年の月刊SONICを締めくくる。


 THE BROKEN HEARTS CLUB 「ただ、いい歌をやりたいだけ」
  (G.+Vo.タカノゴウ/B.マチダケンジ/Dr.カモチセイシロウ)

THE BROKEN HEARTS CLUBTHE BROKEN HEARTS CLUB
THE BROKEN HEARTS CLUBTHE BROKEN HEARTS CLUB

 ロック。今や、さまざまなスタイルの音楽を指すこの言葉と、オリジナルな形の「ロックンロール」を区別したい。高知市内のライブハウス。鳴り始めたのは、ノリのいい、陽気な、まさにそのロックンロールだった。

 暴れまくり、ストロークした右腕を高く上げ、タカノが名乗りを上げた。「THE BROKEN HEARTS CLUBですっ、ヨロシク!」。ベースを低い位置で構え、ハイスピードで弾いていくマチダ。8ビートをさらに細かく、強いショットで刻んでいくカモチ。

 中学生から、それぞれ別のバンドを続けていたタカノとマチダ。二〇〇三年、マチダと同じ大学のカモチを誘ってTHE BROKEN HEARTS CLUBを結成。以来、五年近くがたつが「まともにライブを続けられたのはこの一年だけ」。

 カモチが、結成後まもなく脱退。別のドラムが加入し、自主制作のデモCD「BROKEN ROLL」を出すが、このドラムも半年足らずで脱退。〇六年九月にカモチが復帰して、ようやく波に乗ってきたというわけだ。

 盛り上がるライブ。背面弾き、大車輪ストローク、チャック・ベリーのような動き…タカノの姿が、ロックンロールの先達たちを再現し、映し出す。

THE BROKEN HEARTS CLUBTHE BROKEN HEARTS CLUBTHE BROKEN HEARTS CLUB

 三人ともこのバンドを結成して、初めて、一九五〇〜六〇年代のロックンロールにたどり着いた。「好きなバンドが愛した曲、アーティストをたどっていったんです。ザ・ルースターズからザ・ローリング・ストーンズへ、チャック・ベリーへ」(マチダ)

 ただ−。タカノが言う。「ロックンロールバンドって言われるのは避けたいんですよ。革ジャン、スーツが似合うわけじゃないし。普段の格好で、ただ、いい歌をやりたいだけなんです。自分らを知らん人も、聴いたら楽しくなってくれるような歌を」

 スローナンバーも交え、いよいよライブのラスト曲。ロックンロールのフォーマットに従った、ザ・ジャムの「イン・ザ・シティ」のようなベースラインもうなる、アッパーなナンバー。バンドの代表曲「ガールフレンド」だ。

 会場から拳が上がる。

 大合唱も響いた。

 「オレはお前に首ったけ」

 あえて、タカノの言葉に逆らってみたい。〇七年を猛スピードで走り切れた高知のロックンロールバンドは、THE BROKEN HERATS CLUBだと。

 DISCAPHORICS 「もう一つの価値観でありたい」
  (G.+Vo.チカラ/G.ジュン/B.+Cho.モツ/Dr.ヒラノ)

DISCAPHORICSDISCAPHORICS
DISCAPHORICSDISCAPHORICS

 DISCAPHORICSの音はオルタナティヴだとよく言われる。チカラらもそう思っている。が、人々の言うオルタナはソニック・ユースなどが代表する音楽ジャンルだけを指しがちだがチカラのそれは、ちょっと違う。

 「オルタナティヴって、日本語に訳すと何か。『おれは、もう一つの価値観』と思ってます」

 彼らは、常に「もう一つの価値観」の音を探し続けている。USオルタナ調もあるが、UKのギターロックやポップ、ポストロックもある。「好きな音楽が、あまり周りでは聞かれていない」という四人らしい、マニアックな音も鳴らす。

 DISCAPHORICSの結成は二〇〇四年。オリジナルメンバーはチカラ、ジュン。ヒラノ、モツは後から加入した。〇六年秋に自主制作CD「My Sweet Honey」を発表。〇七年は県内外で、精力的にライブを披露した。

 暗い照明の下で繰り出される、色とりどりの楽曲。シンプルではない、引っ掛かりも残した、ダンサブルなヒラノのドラム。重なるソリッドなモツのベース、チカラのギター。ジュンのエフェクトを掛けまっくたギターが、さらに曲を美しくひずませてゆく。

 そこにチカラの日本語の歌が、モツの女性らしいコーラスが乗っていく。

DISCAPHORICSDISCAPHORICS

 ステージには暴れまくるメンバーのシルエット。曲だけでなく、そのステージングが、会場に来た者をぐっとひきつける。

 が、この激しいステージングはマスターベーションだ、とチカラは言う。「お客さんと一体化、なんて考えてない。壁。壁をつくりたいんですよ、お客さんとの間に。もっともっと厚い壁を。お客さんにとって、オレらが『もう一つの価値観』であり続けたい」

 チカラはこう続けた。

 「ピクシーズをやってる、とか言われたくない。まねしたらいかんのですよ。(先達を)追い抜けなくなる」

 「悟ったらいかんのですよ。これでいいや、好きだからまねしよう、とか。二十代じゃ、ロックを悟るにはまだ早い、です」

 人々を裏切り続けようとする四人。が、壁は、四人のもくろみを裏切るかのように「薄く」なってきている。挙を突き上げるでもなく、歌詞を大合唱するでもない。踊る。気持ち良さそうに、ゆらゆらと。そんなオーディエンスが次第に増えている。

 【注目アーティスト】UKサウンドで復活 新バンドで来高 RYOJI&THE LAST CHORDS

RYOJI&THE LAST CHORDS

 二十代半ばより上の者、高知のロックを聴き続けてきた者にとって、これほど豪華なフロント二人はいない。

 4ピースバンド、RYOJI&THE LAST CHORDS。ボーカル&ギターは、一九九五年からスカパンクバンド、POTSHOTとしてシーンの最前線で活躍したRYOJI(33)。ギターは、高知のトップバンド、STORMを率いて、県内外でメロディックパンクをとどろかせたKUMA(29)。

 旧知の二人がRYOJI&…を結成したのは二〇〇五年末。この年、それぞれのバンドが解散し、KUMAが「RYOJI君と新バンドで勝負したい」と上京したのだ。

 〇六年夏には1stシングル、そして今秋、1stアルバム「PLAY THE FIRST CHORD!」を発表。全国ツアーへ。十一月二十三日、高知市のX—pt.でのライブには二十代半ば以上の、高知のロックを聴き続けてきた人の姿が多く見られた。KUMA、初の凱旋(がいせん)ということもあって。

 が、二人の新しい音は、もっと多くの人が楽しめるものだった。七〇年代以降のUKロックの、ウキウキする部分を詰め込んだ宝箱のような。彼らの原点であるパンクだけでなく最新のダンスロック、パワーポップ、モッドリバイバル、スカを独自にアレンジした楽曲を、ほとんどMCなしで一気に披露していく。

 「高知に、四国に帰るなら本当は(四国最大級の夏の野外フェス)MONSTER baSHが良かった」と冗談っぽく笑うKUMA。来夏は、そのビッグステージで彼らに会いたいと思った。

 【DISC評】'07珠玉のカバー

bird「BIRDSONG EP」

 今年最後のDISC評は編集部、OK電算機がチョイス。近年、カバー曲ブームだが、その中でも「これは!」と感じた2007年、珠玉のカバーを収めたCDです。和物オンリーですがお許しを。

 二階堂和美「ハミング・スイッチ」 さだまさし「関白宣言」をYOUR SONG IS GOODとカバー。ユアソン・JxJxが「曲を分解していくと得意な音だった」と言うように、陽気なカリプソで再現。ぐっとくる感じを損なわない構成もいい。

 音速ライン「青春色」 よく昭和の名曲カバーに挑んでいる男性二人組ギターバンドが、このシングルで挑戦したのはイモ欽トリオ「ハイスクール ララバイ」。原曲が持つ、片思いの切なさが、軽いタッチのギターでより切なく仕上がっている。

 bird「BIRDSONG EP」=写真  これやっちゃったか!と思ったのが、サンボマスター「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」のカバー。□□□(クチロロ)をバックに、birdのちょい力を抜いた女性ボーカル+生音+打ち込みでダンサブルに。

(2007/12/07)



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