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![]() 『高知音楽シーンの今』(2) 「UNDERGROUND」 井上賀雄
3号連続インタビュー企画「高知音楽シーンの今」。第2回はアンダーグラウンドの動きを、CD、グッズなどを販売する高知市帯屋町1丁目のショップ「K−CLUB」店長、井上賀雄(40)に語ってもらった。 1990年代から、高知で邦楽のアンダーグラウンド・アーティストのライブを仕掛け、2006年12月には、ライブスペース「CHAOTIC NOISE」をオープンさせた井上。彼が愛してやまない“地殻変動”は、今、どのような動きをしているのか。 ■HCの手法
—爆音。しかもイノジーでパンキッシュ。一九九〇年代初めから半ばに、井上さんたちがそんな音で築き上げた「コウチシティ・ハードコア(HC)」って、世界を相手にしたシーンですよね。 「ええ、ネットワークを使ってね。そもそも九〇年代初め、二十歳ぐらいの高知のバンド…DISCLOSEたちが音源を作って、日本や世界各地の、自分たちと近い考えを持っていたり音を放っていたバンドに送り始めた。『ネットワーク・オブ・フレンド』っていいますけど。そうしたネットワークをつくって、バンドたちは世界を目指した」 —井上さんのバンド、CONGA FURYも世界へ出た。そうした動きが今も二十代に受け継がれてる。 「すごく小さな世界ですけどね!! BLIND SNIPERなんかはそういう世界にどっぷりつかってます」
—またネットワークを生かして超一流のアーティストを多々、高知に呼んできましたよね。ギターウルフ。昨年十二月は非常階段、遠藤ミチロウ、灰野敬二、三上寛。二月は少年ナイフでしょ。 「十二月のラインアップは日本中のアンダーグラウンド・ファンからすれば驚愕(きょうがく)でしょうけど。そんなもん必要としてない人の方が絶対、多いんで。アンダーグラウンドな世界は、やっぱりアンダーグラウンドやと(笑)。でも三上さんの時は、普段は来ないようなオジサン世代もたくさん来てました」 —いました。大声で「ミカミー」って叫んでるオジサンが、僕の目の前に。 「そういう『来てましたよ』っていう情報が広く伝われば、『ライブハウスに来なくなった人』も来やすくなるんじゃないでしょうか」 —一昨年の十二月に、ここ、CHAOTIC NOISEを造られてから奇跡の乱発でしょ(笑)。ハードコアだけでなくガレージロック、音響系、アコースティック…などジャンルも多彩。
「幅広く呼んでるように見えるでしょうけど、やっぱりネットワーク頼みですよ。ただ…アンダーグラウンドだけでなく音楽全般で『呼ぶ』ってことが難しくなってると思う。高知に音楽的魅力があるか!? 『高知に行って何になるの?』って声も、ね…。東京には行くけど高知には行かないってバンドもいっぱい、いるんで」 —人口減、若者減の高知は音楽マーケットとしては小さいエリア。アーティストからすれば「高知にはライブにしかいかなくていい」となりかねない。 「僕が呼んでるアーティストに関しては、そんなことも分かってくれてて。赤字でも来てくれるわけですよ。交通費を自分で出したり。僕らのネットvワークの中では、そんなアーティストはいなくならない。ネットワークは広がる一方で、呼ぶ分には何の心配もない」 —心配は? 「地元のバンド。CHAOTIC NOISEを始める時、もっといると思ったんですよ、すごいバンドが。いろんなジャンルに、ハードコアみたいに世界目指してる意識の高いバンドがいて、うちみたいな箱に飛びついてきてくれると。で、いざふたを開けてみると…いない。でもいいバンドがゼロってことでもなくて。TEN—No.5、DISCAPHORICS,dacota apartmentとか、いいバンドやすてきな人々に出会えましたからね」 ■求む「異形」
—国の調査など見ると、高知は「ポピュラー音楽鑑賞」や「楽器の演奏」を楽しむ人の割合が下がってます。アンダーグラウンド・ファンはどうでしょう? 「確かに、ショップやってて『CD売れんなぁ』と感じてます。でも、インターネットで簡単に曲をダウンロードできる時代。街でヘッドホンしてる子って多いし。 ライブは…そもそも高知に、ライブハウスに足を運ぶという文化はあるんでしょうかね!? 自分が好きなアーティストが来たら見にいく、って感じでしょ。しかも見るのはプロ。地元のバンドは、まあいいか、と。あと、音楽は好きだけどライブは興味ないって人も結構いる。
知らない音を聴いて感動することに喜びを見いだせてないのは、もったいないと思います。少なくとも音楽ファンなら」 —そうした風潮を変えたいです。 「例えば、若い子に人気の地元バンド“Z”っていうのがいて、そのバンドは頑張ってたし、各地のすごいアーティストとの対バンを結構組んだんです。で、お客で来た若い子たちも、そんな各地のアーティストを見て楽しんでたんですよ。でも、そのアーティストが次来ても、見にこない」 —「内輪だけで楽しんでる」ってやつじゃないですか? 「最初はそこからスタートしていいんですけどね」
—音楽の多様化、のせいでは? 「今と昔で、聴き方、違いますよね。今はインターネット見れば新しい情報がたくさんある時代。情報がありすぎてバック・トゥーできてないでしょ。昔は現役のアーティストを聴いて、その源流をたどった。ハイスタ(ハイスタンダード)好きでいいんですけど、ハイスタがどんな音楽の流れから出てきたかぐらい知ってほしいんですけどね」 —バンドやろうって人の「音楽の聴き方」も、そうなってないですか? 「音楽を聴く過程で、いきなりBOREDOMSや非常階段にはいかないでしょう(笑)。普通に誰もが聴く音楽から入って、そこから自分でいろいろチョイスしていくわけじゃないですか」 —世界には、実にいろんな音楽があるって伝えたいんですけどね。
「若い人に言ってあげたい。バンドの形。それは三人、四人形態がすべてではない、と。一人でギターもあり。アコーステッィクギターじゃなくてもいいし。灰野さんみたいに。『異形の人』。僕らはそういう人を求めてる。やりたいことをやればいい。そんなスタイルのアーティストをどんどん見せてあげたい」 —いませんかね、BOREDOMSやりたいって人(笑)。 「ま、いろんな人がいるでしょ。ライブやってないバンドや一人でギター弾いてる人。いいギター弾く人、いい歌作る人、歌のうまい人。ホームページも作ってない、表へ全く出てない音楽人が。僕らが知らないだけで。そんな人に、うちのホームページ(http://kclub.exblog.jp/)見てほしい。ライブのスケジュール見て、何か引っ掛かるとこがあれば、来てみてほしい。 BOREDOMS好きやったら、二日に来る京都のZOoOoOM見たら絶対に衝撃を受けると思う。見にきた人の中にバンドやりたいって人が何人かいて、その人たちにバンドを組ませるような力が僕にあったら、それがベストです。で、バンドが増えて。ZOoOoOMにあこがれた人たちが、ZOoOoOMが来た時に一緒にやる。で、次はZOoOoOMに向こうに呼んでもらえる、ってなれば」 —それがネットワーク? 「ええ。僕の理想型です」 Yoshio Inoue 1967年、高知市生まれ。88年、先代店長からK−CLUBを引き継ぐ。各ライブハウスでイベントを開いていたが、一昨年、CHAOTIC NOISEをショップに併設。自らライブハウス運営を始める。ハードコアバンド、CONGA FURYのギタリストでもある。 【注目アーティスト】ロックを伝える大人 ゴールデン野郎
四万十市のライブハウス。SEにジャニス・ジョプリンがかかっていた。彼女のお気に入りの酒は、確かサザン・カンフォートだったか…それで焼いた喉(のど)と歌への強い思いがつくり上げたハスキーでダイナミックな声が、ほどよい音量で流れていた。 「ジャニスはいいねぇ」。そう言ってステージへ向かった男も、ハスキーでダイナミックな声だ。濱田亮(41)。3ピースロックバンド、ゴールデン野郎のボーカル・ギター。 小学三年でレッド・ツェッペリンなどを聴き、中学一年でバンド結成。高校時代は県内のコンテストを総なめ。その後、ロカビリーもブルースも吸収していった彼がこの地でバンドを続け、二〇〇三年に結成したのがゴールデン野郎。月一回ライブを開き、県外へもツアーに出ている。 この日のライブは、ボトルネックによるブルージーなギターで始まった。続く曲は重厚なロック。しっかりとリズムキープするベース、小野川修正(39)とドラム、森近将臣(34)。濱田がギターテクを駆使し、暴れ、汗にまみれる。 バラードで一息ついた後のMC。「温度をぐっと上げてみろうかねぇ」。ジャングルビートに乗るハードなギターリフ。経験を積み、輝きを増したハスキーボイスが「大人のロック」の味を深めていく。 彼らの姿に、若いバンドマンたちが見入っていた。 濱田は思っている。「ライブで汗をかけるかどうかで、そのバンドマンが本当に音楽が好きか分かる。汗かくで、僕は。若いもんに『やらんがまし』と言われとうないし」 しゃかりきな大人が、ロックを伝えている。 【DISC評】レディヘの傑作
トム・ウェイツ「オーファンズ」 一昨年のアルバムをようやく買った。すると… あった、十数年間探し続けた曲が! 父と子のきずなを描いた映画「アメリカン・ハート」のエンディング曲「ネバー・レット・ゴー」。酔いどれ天使節さく裂! 「地獄に堕(お)ちても、お前の手は絶対に離さない」(編集部、OK電算機) レディオヘッド「イン・レインボウズ」=写真 OKコンピューターの呪縛(じゅばく)。怪物バンドに課せられた役割。そしてレーベル。これらから解放された新作である。アコースティック楽器、ファルセットボイスは空気を操り奏でているかのように美しい。レディヘ一つの到達点であり、次の段階への通過点でもある傑作!(土佐市、Ki・dA) グッドラックヘイワ「Patchwork」 SAKEROCKのドラム・伊藤大地と元SAKE—・野村卓史のインストデュオが、先月発表したばかりのアルバム。ドラム、口笛、キーボードが奏でるのは、リズミカルでグルーヴィーな、様々な音楽エッセンスをミックスした心躍らす極上のサウンド!(編集部、露格闘店長) (2008/02/01)
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