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![]() 【特集フジロック’08 ダンスミュージック編】至福 ハンズアップの瞬間7月25ー27日、新潟県・苗場スキー場で開かれたフジロックフェスティバル’08の特集第2弾。先月のUKロックに続き、今月はダンスミュージック、オンリー。 ロックフェスに欠かせなくなってきたデジタルアーティストやDJ。彼、彼女たちのプレイがもたらす至福の時を伝えたい。それはハンズアップの瞬間ー。
二日目、七月二十六日。いくつものステージがあるフジロック中、最大のグリーンステージ、ヘッドライナーはアンダーワールドだった。三万人近くいたであろうオーディエンスは待ち続けた。一九九六年に公開された映画「トレインスポッティング」のサントラを代表するナンバーを。 そう、ボーン・スリッピーを。 この曲が生まれ、愛され続けた十数年の歳月で、ロックの地図は大きく形を変えた。九〇年代後半、ロックとダンスミュージックの融合が加速したのだ。 しかもー。八〇年代末から九〇年代初頭、UKで吹き荒れたセカンド・サマー・オブ・ラブ、マッドチェスタームーブメントとは主役が違った。その座はザ・ストーン・ローゼズやプライマル・スクリームといったバンドではなく、デジタル機器を操るアーティストや、レコードやCDをスピンするDJが占めた。 デジタルロック、ビッグビートと呼ばれた彼らの音は瞬く間に世界を席巻し、アンダーグラウンドだったダンスビートやクラブ文化を人々の日常に進出させた。ライブハウスとクラブの垣根もなくした。 この音は、ちょうど九〇年代後半に生まれた日本のロックフェスにとっても、必要なサウンドとなっていった。 代表選手はファットボーイ・スリム、ザ・ケミカル・ブラザーズ、そしてアンダーワールド。彼らはフジロックにも再々登場。グリーンステージで巨大レイブパーティーを繰り広げてきた。 当然、今回も。 アンダーワールドのライブ終盤。疾走感あふれる打ち込みリズムに、浮遊感たっぷりのメロディーが重なってきた。ボーン・スリッピーのあのメロディーが。小節の頭の強い音に合わせて光る照明。一斉に、歓声とハンズアップが起きた=メーン写真。 キラーチューンがもたらしてくれる、一体感。開放感。いろんなものが心と体を駆けめぐる、至福の瞬間である。 ◆ フジロック’08では、DJたちがうまくロックを使っていた。 日本を代表するインディレーベル、CRUEーL主宰でもある瀧見憲司。デジタルロックなトラックを多用。盛り上がりのピークを80sロックのティアーズ・フォー・フィアーズ「ルール・ザ・ワールド」で築き上げた。 ハウスとロックのクロスオーバーを担うエロール・アルカン。ガンバンスクエアでのプレイではマッドチェスターのバンド、ザ・シャーラタンズのほか、ブロック・パーティー、果てはザ・ポリスの「ロクサーヌ」を美しくつないだ。 ヒップホップのオリジネーター、グランドマスター・フラッシュはニルヴァーナ「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」をチョイス。イントロにラップを乗せ、スクラッチも交え、ヒップホップのマナーでスピンした。 多彩なダンスミュージック=ハウスやダブ、ジャズなどが鳴り響いた三日間の中でも、それらは実にロックな光景だった。 最後にもう一つ、至福の瞬間を挙げて締めくくりたい。ガンバンスクエアでブラジルのバンド、CSSがDJとして登場。投入したのが…スキャットマン・ジョン「スキャットマン」。多くの人が知っている懐メロに会場は大爆発していた。 【注目アーティスト】フォルティッシュアカンパニー 強靱なライブ力の“新人”
それもそのはず。中心メンバーは—アコースティックソロとして長年活動してきた、美しい声とギターテクニックの持ち主、吉岡利泰(25)。高知のシーンを席巻した直球ロックンロールバンド、THE LOW LIFEの元キーボード、しーら(25)—なのだ。 しかも不思議な組み合わせの二人が、これまでと違うファンクな音楽をやっているのも、要注目の理由。 「元々、踊れるリズムが好き。ルーツミュージックを、ポップに、分かりやすくやりたかった」(吉岡)。「音楽のジャンルは違いますが『動きまくって演奏して、人に伝える』ことは一緒」(しーら)。 八月、高知市のB.B.cafeで、彼らのさらなる魅力を発見した。 「(僕らを)初めて見る人もっ、二回目三回目の人もっ、同じなのは楽しむこと!」。MCと激しい動きであおる、しーら。吉岡は声色と表情で、詞の世界をしっとりと表現していく。見せるプレーだ。 リズム隊もしっかりしていた。高知大学生でも「外でいろんな場所でやりたい」というベース・だいと(22)と、ドラム・けんたろう(19)が跳ねたグルーヴをキープする。アッパーなナンバーだけでなくスローな歌でも体が揺れるような。 最後の曲が終わった。その瞬間、「初めて見る人も」巻き込んでの大きな拍手が起きた。強靱(きょうじん)なライブ力がもたらした喝采(かっさい)だった。 【ライブ評】サマソニ 圧巻はザ・ヴァーヴ
◆ 一日目(八月九日)は、やはりザ・ヴァーヴ。リチャード・アシュクロフトがステージに姿を現すと、空気は一変。スタジアムはバンドの手に落ちた。圧倒的な存在感、カリスマ性。狂気とノイズ、情熱とエネルギーをぶち込んだサイケミュージック。しかも、現役のパワーがあったからだ。今回の復活があと二、三年遅かったら、伝説のバンドの再結成と「過去のもの扱い」になっていたかもしれない。 二日目(十日)はザ・クークスを取り上げたい。王道を行くブリティッシュ・ビート、天性のメロディーセンス、そして若さ。初期衝動で突っ走るだけでなく、一歩、二歩先へ行くために、半歩引いた場所から状況を観察できるクレバーさはライブにも確実に反映され、彼らにしかないグルーヴを生み出していた。数年後、ヘッドライナーで帰ってくることを願う。 そしてヘッドライナー、コールドプレイ。過剰なほどのサービス精神が美しいメロディー、演奏を、壮大かつドラマティックに増幅させる。頂点に上り詰めたバンドの堂々たるパフォーマンス。オーディエンスもシンガロングで応えた。今後、彼らが未踏の領域をどのようにサヴァイヴしていくのか、見届けたい。 ◆ ほかの皆さんも、ぜひ夏フェスリポを送ってください。Eメールsonic@kochinews.co.jp (2008/09/05)
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