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若者ネットワーク力の結実

 成功すると思っていた。高知最強のDJパーティー「HAVANERO」が九月十四日、香南市の天然色劇場で開いた初の野外イベントは。六百五十人の集客。集まったオーディエンスの熱さ。オーガナイザーでありDJでもあるSUNEO(28)=写真上・右=とU2K(27)=同・左=は「だめです。反省点だらけですよ」と言うが、パーティーは「若者たちの力」で大いに盛り上がった。

高知最強のDJパーティー「HAVANERO」 初野外も成功

 イベントは午後二時開演。ただ、太陽が顔を見せているうちは会場は静かだった。軽食やドリンクを販売するテントに並んだり、買い求めたそれらを手に芝生にすわっている人が多かった。スタッフの中には、舞台袖から険しい表情で会場を見ている者もいた。

 それが、一気にヒートアップしていく。日没とともに辺りを包んだ闇も作用して。

 高知のファンク&ヒップホップバンド、セツナタガリ。大所帯による分厚い音。さらにMCが熱いライムでオーディエンスを魅了する。DJ、HALFBYがヒップホップもジャズもロックも自在にミックス。そして人気シンガー、SONOMIで会場は沸点に。

 ハンズアップが何度も何度も起きる。

 ステージに仕込まれたライトが、ブルーやレッド、グリーンと緩やかに変わりながら、闇を彩っていく。

 SUNEOから「秋に野外やります」と聞かされたのは、今年五月のことだった。

 SUNEOいわく。

 「今年の三月十六日。HAVANEROをやった翌朝です。起きた時に、ふと思ったんですよ。『野外やれるがやないろうか』と。で、U2Kに電話で話して。U2Kも『やりましょう』と即、言ってくれた」

 が、その「ふと」には「根拠」があったと思うのだ。

 大学時代にアンダーグラウンド・ヒップホップを浴び、DJとしてスピンしていたSUNEOが帰高したのが二〇〇五年春。高知で、十代からジャジーなヒップホップDJとして名を上げていたU2Kと意気投合し、この年の冬以降、次々とパーティーを繰り広げていく。

 〇六年七月、HAVANEROを開始。これまで不定期に五回開催。毎回三百人ほどの集客を誇り「高知最強パーティー」の名をほしいままにしている。二人は昨年九月、天然色劇場での野外イベント「ロコモーション」にも出演。ひときわオーディエンスを沸かせた。

 それらが無意識に「根拠」となっていたのでは、と思う。

 そして。「出演してない人のサポートも大きい。僕の友達、U2Kの友達、みんなが力を貸してくれる。お客さんも大勢呼ぼうと頑張ってくれる」(SUNEO)

 今回の野外イベント、スタッフは百人。軽食などの店舗も入れると計百七十人。集客も含め、まさに二人を軸にした「若者ネットワークの力の結実」だったといえよう。

 二人がステージに上がった。ターンテーブルとミキサーを巧みに操り、交互に曲を入れていく。二十分のプレイのラスト、SUNEOがスピンしたのはロックとハウスの融合、くるりの「ワンダーフォーゲル」。

 矢のように月日は過ぎて
 僕が息絶えた時
 渡り鳥のように何くわぬ顔で
 飛び続けるのかい

 イベントが終わって。U2Kは感じている。「昨年はロコモーションがあって。今年は、より若い僕らが主催でやって。『次世代が動き出した』って気がします」。SUNEOも言う。「来年もやります、絶対。一回やったもんの使命。でもいつか、誰かが『オレやるわ』ってなったらいいですね」

 月日は過ぎて僕が息絶えた時ーそれまで「何千マイルも歩い」ていくのだ。より強力なパーティーを続けていくのだ。HAVANEROは、きっと。

【注目アーティスト】mojoco そいだ音、声際立つ

mojoco  一年十カ月。高知のユニット、mojoco(モロコ)には長い時間だった。

 二〇〇六年十一月。あるオーディションで優勝し、プロデビューに向けて大手音楽制作会社のサポートを勝ち取った。結成からわずか五カ月。これで、メジャーへの階段を一気に上る—その矢先だった。昨年八月にベースが脱退し、三人組は二人になってしまった。

 「三カ月、サポートのベースを入れてたんですが…やっぱり二人でやらざるをえなくなって」とドラム&キーボードの山崎“ポール”貴博(27)。

 楽器の組み合わせ、ステージでのポジショニング…試行錯誤が続く。が、「アコギとパーカッションで演奏したカフェ。そこのお客さんたちが良かった。歌を真剣に聴いてくれた」とボーカル&ギターの園部信教(25)。迷いは消えた。

 シンプルな音でいい—。

 ファンクという共通点を持っていた二人が、いろんな物をそぎ落としていく。残ったのは柔らかいオーガニックサウンド。中でも際立っているのが、オーディションで評価されたmojocoの絶対的な個性、園部の優しく甘い声だった。

 一年十カ月。勇躍の時は来た。見事、東京のレーベルとの契約を射止め、今年九月にデビューミニアルバム「日曜の朝、黒に染まる夜」をリリース。音楽誌にインタビューが掲載され、曲は携帯電話の着信メロディーで配信され始めた。

 リリース直後、高知市の市文化プラザ「かるぽーと」でのイベント。そぎ落とした音を自信たっぷりに奏でる二人がいた。際立つ声が、柔らかく響いた。

【DISC評】盟友たちのカバー

V.A.「SIRIUS〜Tribute to Ueda Gen」  V.A.「SIRIUS〜Tribute to Ueda Gen」 今年3月に急逝した上田現のトリビュート盤。特にLA—PPISCHによる「ワダツミの木」は涙なくしては聴けない。盟友たちのカバーが、バックビートの曲の数々が天国に届くことを祈りながら、編集部はこの秋ヘヴィローテします。

 ザ・ハウス・オブ・ラヴ「ザ・ハウス・オブ・ラヴ」 1988年、ポスト・ザ・スミスを担ったUKインディ界の名盤。この伝統的UK哀愁サイケが、名曲「シャイン・オン」がなければ、同じクリエイションレーベルからオアシスは生まれなかったし、今回の新譜もなかった—とすら思える。(以上編集部、OK電算機)

 cro—magnon「the remixes」 ダンスミュージック・ジャムバンドの1st、2ndから7曲をリミックス。ジャズ、ファンク、ヒップホップ、ディスコダブを見事に進化させている。プラス、一発録り25分のライブセット。このパフォーマンスを生で見たい。(編集部、猿惑星博士)


(2008/10/03)



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