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SONIC WEB版

’08高知 リリースラッシュに沸く

 2008年の高知ロックシーンは、異例のCDリリースラッシュとなった。機材の進化で録音が簡単になったということもあるが、何といっても、高知のミュージシャンたちの成長が大きいと思う。今年1年間、ライブ会場や高知のショップ「DUKEショップ高知店」「KーCLUB」で買い求めてきた、ミュージシャン入魂の作品15枚を一気に掲載。高知のシーンをより深く知るための扉になることを願いつつ、特集する。

「ハナクソ」/ハナクソ

 パンクなアコギソロ

 「ハナクソ」/ハナクソ

 21歳の大学4年生が、上半身裸で目をむいて張り上げる叫び。アコースティックギターをかき鳴らして放つサウンド。それは、高知のシーンを一撃で震撼させた。パンクだったからだ。パンクとはうわべだけザ・セックス・ピストルズという模倣ではなく、ボロボロのTシャツといったファッションでもない。反逆のスピリット。彼はその精神を持っていた。激震から間もなく、急きょ録音された本作。収録曲5曲の中でも「勝手にしやがれ」「自決しろ」の2曲は、現代社会を鋭く、パンクらしく射抜いている。


「Pussy’s parade」/DISCAPHORICS

 高知ゼロ世代の名盤

 「Pussy’s parade」/DISCAPHORICS

 オルタナティヴ、ギターロックを食らい尽くした高知の男女4人組=ギター&ボーカル・チカラ、ベース&ボーカル・モツ、ギター・ジュン、ドラム・ヒラノ=が放った1枚。ギターソロが切ないメロディーを奏で、ベースの弦がはじかれてロック的サウンドの洪水を招いていくーそんな1曲目「CRAZY TEMPO」のイントロで瞬殺された。全15曲、ギターロックのさまざまな手法が盛り込まれており、高知ゼロ世代の名盤といっていい。今秋、新ドラマーとしてNoweedのカズナリが加入。ますますパワーアップしている。


「Traveling」/Roi-Jypsy.

 ダンスロックの結晶

 「Traveling」/Roi-Jypsy.

 こういうバンド、サウンドが高知にも出てきた!と胸躍るミニアルバム。インスト人力ダンスロックに、21歳の男女3人組が真剣に向かい合った結晶である。「ダンスロック、大好きなんですよ」というWAKIの、高いトーンでフュージョンっぽくも聴こえるギター。それを前面に押し出し、4つ打ちのARISAのドラム、疾走感あふれるSAKIのベースがグルーヴを生む。本作の5曲もかなりレベルは高いが、期待を込めて言うと「ぜひキラーチューンを」。フロアを一気に爆発させる曲の完成を待ちたい。


mojoco

 「日曜の朝、黒に染まる夜」/mojoco

 高知発、全国行きを決めたmojocoの1stミニアルバム。サウンドはギターとドラムを軸にさまざまな楽器も使っているが、音量は低め。ボーカル&ギターの園部信教の声を殺さないために「引き算」を続けた結果だ。このミニアルバムの1曲目「日曜の朝」と2曲目「カモンガール」がそうしたmojocoの世界をよく表していて、ライブでもまずはこの2曲を続けて、一気に空気をmojoco色に染める。


「悲しみの夜明け/ハルカカナタ」/フォルティッシュアカンパニ−

 「悲しみの夜明け/ハルカカナタ」/フォルティッシュアカンパニ−

 スローだがファンクネスでグルーヴィーなリズム。しかも日本語詞が前面に出た優しい歌物。それがキーボードを交えた4人組、08年高知最注目の新人、フォルティッシュアカンパニーのサウンド。このCDもいいが、ライブの腕前も素晴らしい。バラードをやったかと思うと一転、ダンサブルなアッパー曲を繰り出してくる。しかも激しいステージングで。次作にはぜひ、アッパー曲も収めてほしい。


「DESPERADO&GENTLEMEN」/THE BROKEN HEARTS CLUB

 「DESPERADO&GENTLEMEN」/THE BROKEN HEARTS CLUB

 高知直球ロックンロール界を代表する3ピースが放った名盤。というのも、07年最強のライブハウス大合唱曲であるロックバラード「JONNY」を収録しているから。この曲で何人がハンズアップしながら涙ぐんだことか。残念なことに6月にドラムが脱退し、ライブ活動は休止中。が、ようやく新ドラマーも決まり、練習を重ねている。復活は時間の問題。再び「JONNY」で大合唱を巻き起こしてくれるはずだ。


「SUNRISE ep.」/AFTER SCHOOL

 「SUNRISE ep.」/AFTER SCHOOL

 ポップロック3ピースの1stシングル。明るい曲に日本語詞も英語詞も載せていく全7曲。ラスト曲「アイル・ビー・ヒアー」は高知ゼロ世代の名曲の1つだと思う。


「BITES」/PSYCHOGUN

 「BITES」/PSYCHOGUN

 弾きまくりギターと英語詞デスボイスが特徴の、ラウドロック3ピースの2ndアルバム。ライブでは音が貧弱になるバンドが多い中、この重厚さはまったく薄れない!


「ロールパンボーイ登場!」/ザ・ロールパンズ

 「ロールパンボーイ登場!」/ザ・ロールパンズ

 ハープありの直球ロックンロール4人組。ガガガSPにも通じる、心温まる日本語詞がぐっとくる。特に1曲目「ロックンロールさ」。ジャケットは村岡マサヒロ画。


「YOU&I」/カンシオ

 「YOU&I」/カンシオ

 アコースティックギターデュオのマキシシングル。歌を前面に出した全5曲はバンドスタイルで録音され、サウンドは厚め。音質もハイブロウな仕上がりとなっている。


「Smash Notion」/NEO-GRIST

 「Smash Notion」/NEO-GRIST

 若きエモコア3ピースの王道的3曲が収められたシングル。最近、ライブの腕前もめきめきと上達していて、ステージのたたずまいは…ジャンルは違うがストレイテナー!


「宇宙人」/宇宙人

 「宇宙人」/宇宙人

 1曲目で「ガールズポップか」と思ってたら痛い目に遭う。その後に待ち構えているのはガーリーボーカルに、ハードなリズム隊と、何より恐ろしくスペーシーなギター。


「ゆとりの日」/ゆとりの日

 「ゆとりの日」/ゆとりの日

 女性ボーカルの4人組。ノイジーでハードだがポップ感もあるロック。気合の入った女性ボーカルがハードロック味を加えていて、これがGOOD。癖になる声だ。


「水平線」/Cleep

 「水平線」/Cleep

 6月で解散した歌物3ピースが残した名作。どこにもない透明感と優しさを持つ廻角拓司の声。タイトル曲はそれを生かすための詞、曲構造といっても過言ではない。


「Green Sketch」/Green Sketch

 「Green Sketch」/Green Sketch

 メロコア・ギターポップ王道のサウンドに日本語詞&英語詞を載せた、3ピースの1st。日本語詞が何とも言えない。青春ロック全開の真っすぐさがいい。


【注目アーティスト】哀愁放つデジロック aluminium 孤独を力に

aluminium

 高知の二人組、aluminiumの奏でるロックは、強いメランコリーを感じさせる。その源を考えてみた。マイナーな曲調でも、切なく、つやのあるボーカルでもない。パソコンのベース音や打ち込みリズム—デジタルの持つ無機質さでもない。

 孤独、だと思う。

 ギター&ボーカル、プログラミングを担当する田中英明(34)。高校の入学祝いにギターを買ってもらい、いつしか一人で歌を作るのが趣味になり、二十代後半からは「周りに洋楽雑誌を読んでいるやつなんていなかった」中、洋楽ロックを聴き続けた。

 そんな男の孤独だと。

 ギターの池田啓二(43)との出会いは偶然だった。夜の酒場。見知らぬ二人が好きな洋楽で意気投合。田中は歌作りの趣味も熱く語った。高校時代からバンドを続けていた池田は言った。「一緒にしようや」

 二〇〇四年四月、aluminiumデビュー。以来、二人の洋楽—特にUKロック好きは激しくダンサブルなリズムと、ざらついたギターのロックを放ってきた。今夏から池田がシンセサイザーを導入。九月のライブでは、ラストにカサビアン「クラブ・フット」のカバーも披露した。

 UKロックの歴史は教えてくれる。苦悩から生まれたロックの強靱(きょうじん)さを。そんなサウンドの系譜に、高知から堂々と名乗りを上げるaluminium。彼らの姿は —。孤独を抱え、同好の士を見つけることができず、それでも音楽がやりたい、という人々を導く「光」。

 まぶしくて仕方がない。

【ライブ評】Vの“オーロラ”

Vの“オーロラ”

 十一月三十日午前零時。高知市内のクラブに“オーロラ”が登場した。

 VJ(ヴィジュアル・ジョッキー)・井上将司(25)が、DJ・Nozzy(40)の協力を得て作り上げた。天上から「網戸の網」を三枚、すき間を空け、同方向につる。それにプロジェクターで映像を照射すると…網に絵が映り、一部の光は網の目をすり抜け…という具合に、三枚すべてに像が結ぶ。

 ハウスミュージックで踊り、見上げると—。3Dの線画や、円がいくつにも分裂していくような光の映像。幽玄の世界があった。

 井上がVJを始めたのは半年ほど前。パソコンのVJ用ソフトを独学し、映像の映し方を試行錯誤し、この“オーロラ”にたどり着いた。「映像は音楽世界への案内人。踊っている人だけでなく、座っている人も楽しんでもらえるかな」


(2008/12/05)



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