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SONIC WEB版

未来は僕らの手の中 ライブ、クラブパーティー 高知の希望

 集客面などで厳しさを増す高知の音楽シーン。2月号ではメジャーシーンの現状と打開策を、DUKEの玉乃井欣樹へのインタビューで考えた。3月号ではインディーシーン=地元アーティストの活躍の場を訪ね、未来を探る。光り輝く希望は見いだせるか—。

未来は僕らの手の中 ライブ、クラブパーティー 高知の希望

 三月。高知のライブハウスは「別れの場」となることが多い。若手アーティストたちが進学や就職で県外に出ていったり、中堅たちもバンド人生から次への節目として年度末を選ぶため、解散ライブが相次ぐ。

 一日。高知市のX—pt.もそうだった。十一年続いた高知のベテランバンドのラストステージ。先輩や同年代、後輩のバンド、さらに徳島や香川の盟友たちも駆け付け、総勢九組が出演。オーディエンスも二百人以上集まり、最後に解散するバンドが登場するとモッシュ、ダイブが起きるほど大いに盛り上がった。

 現在、新しいドラムとの練習に励んでいる高知を代表する直球ロックバンド、THE BROKEN HEARTS CLUBのマチダケンジ(26)は、その光景に感じていた。「人々の中にロックは鳴りゆう。高知はまだまだやれる」

 グルーヴィーなファンクやロックをベースに歌物を奏でる高知の注目株、フォルティッシュ・アカンパニーのキーボード、しーら(26)も驚いていた。「バンドは三十歳前。モッシュしゆうオーディエンスは二十代前半。年の離れた人々を引き付けちゅうのがすごい」

 ライブの文化を未来につなげる。そのためのキーワードの一つは「大学生」。今まで彼らのパワーは、高知のバンドシーンにあまり流れ込んでこなかった。それをシーンの側が何とか取り込もうとしている。

 最も積極的なのがX—pt.店長、西岡隆宏(46)。「今まで大学生バンドはサークル内部だけでやってた。中にはいいバンドもいるのに。でも最近の大学生バンドには、やる気になっちゅう連中もいる。じゃあ、こっちはそのステージを構えちゃろうと。ええもん持ってます。あとは経験。機会をつくってあげれば、ライブでの課題をクリアしたりできる。その力は十分にある」

 この日、解散したバンドも、そんなチャンスを大学生バンドに与えてきた。対バン相手に何度も選んだ。大学でのイベントにも再々出演し、若いオーディエンスを育てた。それがこの日の集客、盛り上がりにつながった。

 そして、ラストライブで伝えたと思う。「若い人を、普段出会わない人をもっともっと巻き込まないと、シーンは盛り上がらないぞ」というメッセージを。

 バンドの名は、Noweed。高知のシーンをけん引してきたポップロック五人組の最後の勇姿は、明日七日付本紙夕刊の別冊SONICでお届けする。

未来は僕らの手の中 ライブ、クラブパーティー 高知の希望

 DJが大音量でダンスミュージックをスピンし、「終わらない週末」を彩ってきたクラブ。その光景は変わらないものの、別の部分で近年、大きな変化が起きている。「かつては箱(クラブ)にお客さんが付いていたが、最近はDJに付いている」と、DJ歴二十二年のベテランで高知市にあるクラブのオーナー、Nozzy(40)は言う。

 「クラブに付いていた」。かつてはクラブごとに鳴らしている音楽のジャンルが違っており、そのジャンルを好む客が「通っていた」という状況を指す。ハウスミュージック、ヒップホップ、レゲエなど、それぞれすみ分けができていたのだ。

 が、近年、クラバーたちの嗜好(しこう)は多様化。クラブもDJもその対応に迷っている感がある。

 今、高知で最も多彩な活動をしている—さまざまなクラブでスピンしている女性DJ、ASA(32)はこう指摘する。「ハウスならハウスしか回さないというDJは多いし、若手はそういう考え、意識がとても強い。けど、本当はジャンルの壁を壊すDJが集客は多いんです。若手でも出てきましたよ、ジャンルを超えられる子が」

 今のDJには、かつてより広範な音楽知識、それに基づく選曲力が必要なのだ。が、それだけでもいけないとASAは言う。

 「人としてのつながり。それを大事にする、広げられるDJが強いと思う」

 そうしたものすべてが威力を発揮した一夜が、ASAも出演したNozzyのクラブの開店十周年記念パーティー。三十数人のDJがハウス、トランス、ロックなど多彩な音を鳴らし、かつ、それぞれのDJたちと「つながっている」客が集まり、にぎわった。

 この状況をNozzyは意図的につくり上げた。「いいDJが大勢集まると、ビッグパーティーが成立する。しかも一人の時間が決まっているスタイルではなく、一人一曲の『バック・トゥ・バック』形式の方がDJもいろんな時間帯に回せるし、お客さんも飽きんと思うしね」

 一方で、こうも思う。「少人数のDJでじっくり、ジャンルを特化して、というパーティーも必要。DJ文化の原点やき」。そんなスタイルも受け継がれていくだろう。

 最後を、十周年パーティーに来ていたバンドマンの言葉で締めくくろうと思う。「朝までやってて、アルコールもあって、お祭り騒ぎ…クラブは土佐人に合ってる感じがします」。隆盛はまだまだ続きそうだ。

【注目アーティスト】ハナクソ 一人パンクの道進む

一人パンクの道進むハナクソアコギ1本の叫び

 アコギ一本で二十二歳の青年が叫ぶ。こんな歌を。

  死にたくなっても
  一人じゃさみしくて
  生きたくなっても
  一人じゃさみしくて
  ケータイいじって
  検索してるのさ
  友だち、恋人、
  検索してるのさ
   (中略)
  自決しろ
  てめえで自決しろ

 彼の名は、ハナクソ。

 自分で決めろ、の意味でこの歌「自決しろ」は作った。強いメッセージ。が。「本当はそんな人間じゃない」と素顔の彼は笑う。

 「集団自殺のニュース見て思うんです。自殺した人と僕は変わらない。弱いし。ケータイいじるし」。古里・大阪を離れて高知大に入学したがサークルにも入らず、自室と大学を往復する日々。高校時代にバンドをやった友人と帰省時、演奏するのが数少ない楽しみ。

 そんな青年が本気で「やりたいことをやりたい」と「自決」した。二〇〇七年十二月のことだ。

 高校時代の友人が就職活動で、一緒に演奏できなくなった。でも…。高校時代にコピーした青春パンク、大学になって出合ったUKパンク、ハードコア、日本のフォーク。それらを元に音楽をやろう、と。一人パンク—三上寛が、遠藤ミチロウが開いた道を進もう、と。

 こうしてハナクソは生まれた。二十日には1stミニアルバム「あきらめた大人達へ」をリリース。神戸、大阪、東京をライブして回り、高知への凱旋(がいせん)は二十七日。CHAOTIC NOISEで彼はこう叫ぶはずだ。

 「自決しろ」

【DISC評】別れの時 贈る歌

SUPER BUTTER DOG「SUPER BETTER BETTER DOG」

 Hi—STANDARD「メイキング・ザ・ロード」 一九九〇年代Jロックを語る上では外せない一枚。エッジの効いたサウンドは、未来へと突き進む若者のポジティブなエネルギーにあふれている。「ディア・マイ・フレンド」から一節—またいつか会えるんだから、「さよなら」は言わないよ—。(元編集部、爪9センチ)

 SUPER BUTTER DOG「SUPER BETTER BETTER DOG」=写真 昨年解散してしまったバタ犬の、ユーモア詞とファンキーサウンドが詰め込まれた二枚組ベスト。メッセージは「サヨナラからはじまることがたくさんあるんだよ〜」、そして「明日へゆけ」。(編集部、猿惑星博士)

 ザ・スミス「ザ・クイーン・イズ・デッド」 一九八六年、イギリスから放たれたロック史上に残る問題作。必聴は九曲目「ゼア・イズ・ア・ライト・ザット・ネバー・ゴーズ・アウト」。決して消えることのない光…ライブやクラブパーティーはザ・スミスのいたイギリスにも、どこにでも永遠にある。(編集部、OK電算機)


(2009/03/06)



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