

強靱なグルーヴ、再び

特集フジロックフェスティバル’10、ゴーズ・オン! 今回紹介するのはアメリカのダンスロックバンド、!!!(チック・チック・チック)。実のところ、彼らを侮っていた。最新アルバムは洗練されすぎて、強靱(きょうじん)なグルーヴが失われたと思っていた。が…。
ポストパンク期のESGらから引き継いだNYの伝統ともいえそうな、パーカッションによるトライバルなリズム。強靱なグルーヴ。それが!!!の持ち味だった。2007年のフジロック。祝祭性あふれるサウンドが、真っ昼間からグリーンステージを埋めた数万人を酔わせ、揺らした。
が、パーカッションは鳴りやむ。今年6月にリリースされたアルバム「ストレンジ・ウェザー・イズント・イット?」で。サウンドはディスコパンクから優等生的なハウス、ミニマルテクノへと変わった。
メンバーチェンジのせいか? あの音はどこへ? ファンの間にも不満、不安の声が漂った。それが…。
別のステージでは21世紀を代表するスタジアムバンド、ミューズが堂々たるライブを繰り広げていた、22時10分。ボーカル、ニック・オッファーのヒヨコダンスとともに鳴り響き始めたのは、凶悪なファンクだった。ホーンとアフリカンアメリカンによるコーラスが加味された、強靱な漆黒のグルーヴ。うねりまくるベースと絶妙なハイハットが、「踊れ!」と強要してくる。
1万5千人規模のホワイトステージぎっしりのオーディエンスが、一気に揺れ始めた。オッファーがステージを降り、最前列のオーディエンスの元へ。しかも2回も。何度もわき上がる歓声。さらに、キラーチューン「マスト・ビー・ザ・ムーン」が投下され—。
強まっていく、揺れと歓声。07年の再現…いや、それ以上だった。
(2010/8/14)


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