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苗場に響いた高知の音 フジロック 出演の2組

 月刊SONIC8月号、そして別冊でも伝えてきたフジロックフェスティバル’10=7月30日—8月1日@新潟県苗場スキー場。特集も今回でラスト。高知から苗場行きを果たしたアーティスト…ルーキー・ア・ゴーゴー出場15組に国内外約1700組の応募から選ばれた4ピース、宇宙人。元電気グルーヴの砂原良徳をサポートした久川大志(41)。2組の勇姿を紹介して締めくくろうと思う。

苗場に響いた高知の音 フジロック 出演の2組

 「実感ないんですよ。フジでやるっていう」。8月1日午前1時50分。あと10分で本番というのに、ベースのニイヤ(25)はそういって笑っていた。ギターのコマツ(28)が横でうなずいている。

 宇宙人…その名の通り4人は、訳知り顔の大人たちが持つ常識を超えた存在だった。大舞台にも緊張は皆無だった。

 「トランペット使います。2音出すためだけに。ヒヒヒ」とはボーカルのアサコ(24)。ドラムのマコト(22)に至っては、別のステージを指して「僕はあそこにいたいです。ソウライヴ(アメリカのソウル&ファンク・ジャズバンド)みたいなのがいた。いいなぁ」と本気で悔しがっていた。

 いざ、本番。コマツが、ひょいと挙げた右手をバイバイと振って言った。

 「サクっとやってきますわ」

 「ヤノコーイチ」「アメーバダンス」を序盤に投入。グルーヴィーなベースとドラム、ポップなギターに、アサコの声がのる。

 宇宙人の結成は2008年秋。年間ライブ数は数えるほどしかないが、4人とも実力は十分。アサコとマコトは高校時代から注目を集めたバンドマン。コマツは「高知で一番エフェクターが多い」といわれ、ギターとは思えないサウンドで人々を魅了してきた。ニイヤも手数の多さと激しいプレイが認められ、いくつものバンドで演奏してきた。

 そんな4人がセッションから生み出した曲の数々。しかも自然体でのプレイ。あるオーディエンスは、自らのブログにこう書いていた。「今回の大穴!

 脱力系ボーカルと恐ろしいまでのテクニックから生まれるジャムサウンド!」

 30分のステージはあっという間だった。終演後、会場をうろついていた4人に、何人ものオーディエンスが握手を求めてきた。「ファンクを感じた。ナイス!」「ジャズだよ。すごく楽しかった」。評価の声にも大騒ぎすることなく冷静な4人。やはり、宇宙人である。

苗場に響いた高知の音 フジロック 出演の2組

 8月2日午前2時半。DJのアッパーチューンで、レッドマーキーのボルテージが最高潮を迎えた直後だった。

 静謐(せいひつ)なエレクトロサウンド…直前に発売された最新シングル「subliminal」のオープニングナンバー「The First Step」が流れる中、登場したY.Sunahara(砂原のソロプロジェクト)。ステージに向かって左側が砂原。右側に久川が立った。それぞれの“デスク”には、原曲を“変形”させるためのエフェクト機材などが並んでいる。

 2人の出会いは20年ほど前。互いの持つクラフトワーク、YMOへの深い造詣にひかれた。その後、ともに電子音楽の道を進み、応援し合ってきた。

 2002年以来、常に砂原のライブを久川がサポートしてきた。パートナーに選ばれたのは、そうしたコアな付き合いだけが理由ではない、と久川はいう。

 「匿名性、ですね。演者と聴く側って主従関係じゃないですか。それをなくしたい。聴く側の受け止め方も自由でいいし。1人でやるとその主従が生まれやすいんで、それで2人で、と」

 そうすると—「当然、ライブの主役は演者ではないし、音楽でもない。実は、映像なんですよ」

 ステージに横たわる巨大スクリーン。そこに浮かび上がるのは…ランダムに跳ねる無数の円。波形に、らせん状に連なっていく。続いてキューブが登場し、分裂を繰り返す。そんな“抽象画”が一転、川崎の工業地帯や、空爆されるイラクの光景が映し出され…。

 映像に合わせ、原曲にエフェクトを掛ける砂原と久川。打ち合わせはない。その場で、会話もなく「あうんの呼吸で」どうするか決めていく。

 午前3時半。2人がステージから消え、映像がホワイトアウトした。わき起こる歓声と拍手。レッドマーキーは、サウンド、映像を自由に楽しんだオーディエンスの満足感であふれていた。

グッバイ、ビークル…



 四国最大級の野外フェス、MONSTER baSH=8月21、22日@讃岐まんのう公園。出演32組の中で、1バンドだけライブの空気が違った。

 BEAT CRUSADERS。

 通称、ビークル。1997年、ボーカル&ギターのヒダカトオルを中心に結成。2003年に現在の5人組となり、ウィーザー的パワーポップやグリーン・デイ的パンクを追求。ケイタイモのシンセによってニューウェイヴのテイストも醸しながらシーンをけん引してきた、お面バンド。9月4日で“散開”する彼らの四国ラストライブを見ようと、通路にまでオーディエンスがあふれた。

 「“お”まんのう公園の皆様、大変お待たせしマシータ! BEAT CRUSADERSドS☆」。ヒダカが叫び、メンバーがお面を投げ捨て、ライブスタート。

 大合唱必至のキラーチューン「CUM ON FEEL THE NOIZE」「BE MY WIFE」、ギターのカトウタロウが、ベースのクボタマサヒコがボーカルをとる「BANG!

 BANG!」「PERFECT DAY」。これまでの総まとめのような前半は沸きに沸いた。

 続いて、泣きタイム。メロウ感を利かせたナンバー「LOVE DISCHORD」「Situation」が放たれた。

 しんみり聴きながら思った。ビークルは常にbaSHに、フェスらしい演出を持ち込んだバンドだった。コラボCDを出したアーティストらとの生演奏を繰り広げてくれたのだ。06年は木村カエラ。その後もthe band apartの荒井岳史、bloodthirsty butchersの吉村秀樹をステージに上げた。09年はヒダカとドラムのマシータが、RYUKYUDISKOのステージへ飛び入り。テクノサウンドに不慣れなオーディエンスも巻き込んだ。

 この日のラストを締めくくったのは08年、YOUR SONG IS GOODとともに計11人がステージ狭しと暴れまくりながら披露した「FOOL GROOVE」。

 そういった瞬間、瞬間を思い出さずにはいられなかった。

 ラス前の「HIT IN THE USA」も含め全8曲。最後、ヒダカが深々と頭を下げた。「1億年後に会いましょう。ありがとう」

 グッバイ、ビークル…多くのオーディエンスがその言葉を口にできずにいた。もっと聴きたい曲があった、「TONIGHT,TONIGHT,TONIGHT」で「TIME FLIES,EVERYTHING GOES」で暴れたかった…そんな思いと折り合いがつけられず、機材の片付けが始まったステージを見つめていた。

 DISC評

CUBISMO GRAFICO FIVE「DOUBLE DOZEN」

 ハイスピード、24曲40分!

 CUBISMO GRAFICO FIVE「DOUBLE DOZEN」=写真 松田“CHABE”岳二率いる4人組の最新アルバムは、タイトル通り2ダース=24の曲が40分で駆け抜ける。恐るべき速度と激しいサウンドは、永遠に消えない初期衝動。ポップなメロディーも利かせた、これはもう大人のパンク。

  (編集部、猿惑星博士)

 ニュー・イヤーズ・デイ「ヘッドラインズ・アンド・ヘッドストーンズ」 フォール・アウト・ボーイらも認めたUS4人組が今夏、日本に届けてくれた1stアルバム。ヘヴィーエモなギター+ガーリーボーカル。オリジナル曲もいいが、そのマッチングだからこそできたデペッシュ・モードやレディー・ガガのカバーが◎。

  (編集部、OK電算機)

 Galneryus「RESURRECTION」 日本のメロディック・スピードメタルバンドの最新作。7弦ギターを駆使した速弾きの後にくる泣きメロや、複雑かつ疾走感あふれる演奏は不変で、シーンに帰還した彼らの気合が伝わってくる! 物まね番組でも活躍するハイトーンボーカリスト、小野正利が加入。

  (南国市、虹の欠片)


(2010/09/03)



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