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高知から"有機の時代"を 高知市でシンポジウム
【進行】
アウトドアライター 天野 礼子氏
【パネリスト】
高知市長 岡崎 誠也氏(※岡崎市長の「崎」の文字は正しくは「大」が「立」のざき)
「ふるさと回帰支援センター」事務局長 高橋 公氏
環境と調和の取れた農業生産を進め、豊かな自然を次の世代に引き継ごうと「"オーガニックな一日"in高知」が十一日、高知市九反田の市文化プラザ「かるぽーと」で開かれた。シンポジウムやコンサート、県内の生産者による有機農産物の販売などで会場は終日にぎわった。作家、C・W・ニコルさんの講演やパネル討議が行われたシンポジウム「"有機の時代"をつくるために」を詳報する。高知439国道有機協議会などの主催。
【写真】有機農業の可能性について意見を交わす3氏。左から天野氏、岡崎氏、高橋氏(高知市の「かるぽーと」)
岡崎氏 今は大きな、しかも大事な転換期に差し掛かっている。森林と里と田園は全部つながっているが、その連鎖が切れかかっていることに危機感を持っている。昨年、高知市のシンボル鏡川が環境省の「平成の名水百選」に選ばれた。川、森、農業をしっかり守り、次の子どもたちにバトンタッチすることが使命だ。
天野氏 鏡川が名水百選に選ばれたのは奇跡的なこと。高知市は有機農業推進に向けた検討会をつくったそうだが。
岡崎氏 食の安全安心、環境への関心が高まる中、しっかりとした方向性を検討しようと「高知市エコ農業推進検討委員会」を設立した。土佐山地域が合併前から有機の里として取り組んでいるので、春野地域も可能性がないか検討したい。ただJA中心なので大量生産、ロットが必要だという考え方が強い。また、近くに有機の畑があると、害虫、雑草の種が飛んでくるとかいう懸念が生産者の方にはあるのではないか。お互いに勉強しながら協調できる形で進めていくべきだと考えている。
天野氏 有機農業の指導者がいる無農薬の市民農園は、東京都と愛知県にそれぞれ一カ所ずつしかない。高知市は有機農業だけの市民農園をやる市として全国に売り出そうとしている。
高橋氏 市だけじゃなくて、県全体としてやったら面白い。東京・銀座にあるうちの「ふるさと暮らし情報センター」に、移住希望の人が今年一月だけで三百人来た。時代は様変わりしている。高知は手付かずの自然、人情もいい。食べ物もうまい。右肩上がりの経済成長を前提とした価値観からいえば、遅れているかもしれない。しかし、有機とかスローライフとかいう発想からいったらトップランナー。
岡崎氏 今の時代、高知、土佐が求められていると大きな確信を持っている。これだけ経済状況が悪い中で、どうして県民が普段から酒飲んでわいわいやっているかというと、東北以北は冬場、雪に閉ざされ、基本的に食料も取れない。しかし高知は温暖で、冬場でもいろんな食料がある。世界中見て、これほど雨、水、食料が豊富な所はないのでは。そういう意味で必ずトップランナーになれる可能性がある。
天野氏 実は、すでにトップランナー。高知港での「高知オーガニックマーケット」には約四十グループが出店している。この数、実は日本一。すごい。
岡崎氏 高知市のごみ分別は十八分別。これも全国トップクラスで、一人当たりの出すごみの量も全国的に相当少ない。ただ、県内三十四市町村のうちごみ収集が無料なのは高知市だけ。減量化、循環型社会の構築という意味でもう少し、ごみ収集有料化の論議を本格化させたい。
天野氏 長岡郡本山町で生ごみを堆肥(たいひ)にし、農地に入れている。高知市が有機の市民農園をつくったとき、生ごみ堆肥を使ったらどうか。
高橋氏 それは究極の循環型社会。堆肥化は各地で取り組んでいるが、堆肥が使われていない。有機農業を実践している人が少ないから、うまく回っていない。循環をどうつくるかがポイントだと思う。
天野氏 本山町の場合、病院、スーパーの生ごみを年間三百トン集めて堆肥にすることで、処理費用が年四百万円削減されてる。人口約五千人の町で大きいですよね。
岡崎氏 高知市は学校給食、旅館、ホテルからも多くの食べ残しが出る。これをリサイクルしたい。その方が今の社会に合っている。
天野氏 高知は森林率84%。これも日本一なので、木のことを考える、農地を考えるということを県政、市政に生かしながら、有機の時代をつくっていける県なのではないか。
高橋氏 まったくその通り。ポイントは人。いい運動、地域には目を輝かせた人がいる。今日、基調報告をした有機のがっこう「土佐自然塾」の山下一穂塾長ら、ここにも人がいた。こういう人たちがネットワークされていけば、また勇気づけられていくと思います。
(2009年02月16日付朝刊) |