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高知の街路市発掘『いちの土佐』
火曜いっちゃんが歩みを語る

水路の上で40年

火曜いっちゃん 電車通りの上町4丁目から通りを一つ南へ入ると、ぼく、火曜いっちゃんが住み込んでいる火曜市が東西に並んでいるんだ。お店は水路の上。北の歩道と南の車道の通行をできるだけ、じゃましないように幅1.5メートルの水路の上に板を渡してテントが立てられているのさ。

 というわけで、ぼくは水泳が大の得意。夏の楽しみは、すーい、すーいと水路の水に身を任せて漂っていることだね。冬は冷たいんで、さすがに長く泳げないんだけど。

 お客さんは、日曜市や木曜市の人たちと違って、近所の人が多いね。なじみのお客さんがほとんどで、店の人たちと仲良しさ。お客さんがお店の中に座って、並べている品物を売る光景がよく見られるよ。

 ぼくもおじゃまして、その中に入っていることがある。1週間ぶりの友人同士の会合といった趣もあって、ぼくはとてもほのぼのとした気分になっちゃう。お客さんが持ち込んだお菓子やミカンを食べながら会話が弾んでいるんだ。ぼくも内緒でちょっとおすそわけをもらうこともあるよ。

水路の上に立つ火曜市。ゆったりとした時間が流れる
【写真説明】水路の上に立つ火曜市。ゆったりとした時間が流れる

 火曜市は昭和元年(1926年)に、現在の電車通りで開かれた。現在の上町5丁目の南北の通りにあり、太平洋戦争で一時中断したんだが、昭和27年(1952年)に電車通り沿いに復活した。

 車が普及して、だんだん電車通りの交通量が多くなり、昭和39年(1964年)に現在の位置に移った。 当時は130人余りの人が店を出していたんだ。お客さんもたくさんで、活気があった。

 前年の10月に移転するはずだったんだが、移転先周辺の地元商店街の方から「火曜市が来ると、売れ行きが落ちて、さびれるので年末大売り出しが済むまで待ってほしい」といわれて、移るのを延長したんだ。昔のにぎわいが分かるでしょう?

 現在は、スーパーや直販店に押されて、お客さんも少なくなってきている。火曜市のすぐ横の上町3丁目でやっていた土曜市は店を出す人が10人くらいになって、平成16年(2004年)に店を閉じざるをえなくなった。火曜市に移ってきた人も少しいるよ。

火曜いっちゃん

 でもね。ぼくの友だちの日曜いっちゃんや木曜いっちゃんがおじゃましているそれぞれの市に比べて、規模は小さいけど、また違った良さがあるよ。

 ちょっと水路の北の道を、ゆっくりと歩いてごらん。なんともいえない静かでゆったりとした時間が流れているのを感じることだろう。なじみ客は午後にはこなくなるので、じっくりとお店のおばさんやおばさんと話せるチャンスがあるよ。店の品物のことは何でも教えてくれる。

 仲良くなって、なじみになろう。その出会いが、きっと君の人生に豊かな実りをもたらしてくれるよ。

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